灰色の男たちと出会わない方法
- 作者: ミヒャエル・エンデ,大島かおり
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 新書
- 購入: 41人 クリック: 434回
- この商品を含むブログ (299件) を見る
児童小説です。対象は小学5、6年生以上らしいです。僕が読んでもだいじょうぶみたいですね。
っていうかこれ、大人こそ読むべき本です。
「時間」をテーマにしたお話で、時間やお金・人との繋がりなどについて考え直させてくれる良本です。
一部では超有名な、ある曲の歌詞にもありますが、
「何かに追われるように毎日生きている」ような人にはぜひ読んで欲しいなぁ。
ちなみに、僕はむかし、近所の図書館の読書クラブというのに親に強制参加させられていて、
確か隔週の土曜日に図書館のある部屋に集まって、そこで職員の人が本の紹介をするっていう会だったと思うんですが、
それで一度この「モモ」が紹介されていたのを覚えてます。僕はそのころは小学校中学年だったので読みませんでした。
(そのころはハードカバー版しかなくて、見た感じすごい分厚かったんで僕はまったく読む気がしませんでした。)
ただ、この表紙の絵だけはなぜかすごく記憶に残ってるんですよねー
そういや、小5、6のとき同じクラスだった本好きの女の子が、好きな本はモモだって言ってたな。
あと、この本は「人生はお金だけじゃないんだよ」的な感じなんですが、
「東大教師が新入生にすすめる100冊」(//dain.cocolog-nifty.com/myblog/2007/04/100_d0c8.html)
の中に載ってるんですよね。ドストエフスキーとかマックス・ヴェーバーとかカントとかだけじゃなく、
こういう児童小説もランクインさせるというこのスキの無さ、やっぱ東大はすげえなぁ。
実際、思考のバランスを取るためにはこういう本も読まないといけないなと心底思いましたよ。
(読んだことはないですが、よく聞く「星の王子様」とかも同じタイプの本だろうな。)
さて、心に残った言葉。
『でもモモだけはいつまででもベッポの返事を待ちましたし、彼の言うことがよく理解できました。
こんなに時間がかかるのは、けっしてまちがったことを言うまいとしているからだと、知っていたからです。
ベッポの考えでは、世のなかの不幸というものはすべて、みんながやたらとうそをつくことから生まれている、
それもわざとついたうそばかりではない、せっかちすぎだり、
正しくものを見きわめずにうっかり口にしたりするうそのせいなのだ、というのです。』
『「なあ、モモ、とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。
おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」
「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、
いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないのだ。
そしてしまいには息がきれて、動けなくなってしまう。道路はまだのこっているのにな。こういうやり方は、いかんのだ。」
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?
つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。
いつもただつぎのことだけをな。」
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。
こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」
「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。
どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからんし、息もきれてない。」
「これがだいじなんだ。」』
『「わたしはいまの話を、」とそのひとは言いました。
「過去におこったことのように話しましたね。でもそれを将来おこることとしてお話ししてもよかったんですよ。
わたしにとっては、どちらでもそう大きなちがいはありません。』
さすが児童小説、ひらがなが多い。