安っぽい幸福と高尚な苦悩の、どちらが良いだろうか?

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)



ドストエフスキーです。タイトルはこの本の一節です。
作品の概要は、

極端な自意識過剰から一般社会との関係を絶ち、地下の小世界に閉じこもった小官吏の独白を通して、理性による社会改造の可能性を否定し、人間の本性は非合理的なものであることを主張する。人間の行動と無為を規定する黒い実存の流れを見つめた本書は、初期の人道主義的作品から後期の大作群への転換点をなし、ジッドによって「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と評された。


という様にwikipediaには書いてありましたが、
この主人公の設定から容易に想像できるように、キチガイの話です(と、最終的にそう解釈しました)


ただそうは言っても、キチガイが頭のおかしいことを喋ってるだけの本ではなく、
色々と考えさせられることが書かれてます。
さらに、これよりも後に書かれた「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」と扱っているテーマがかぶってたりして、ドストエフスキーあるいは時代の変化が感じられて面白かったですね。


んーにしても、主人公の苦悩がありありと伝わってきて、読んでるとすごく悲しくなりました。
僕は神の存在や宗教全般をこれっぽっちも信じてませんので、
主人公の苦悩に対して共感を示すことは難しいですが、恐らく地獄だろうな。
いやーすごい。


ちなみに、芥川龍之介ドストエフスキーのことを

ドストエフスキーの小説はあらゆる戯画に充ち満ちている。
尤も、その又、戯画の大半は悪魔をも憂鬱にするに違いない。

と評したそうです。
「悪魔をも憂鬱にする」とかどんだけだよって感じですよね。




ところで、涙が出てきた動画があったので貼ってみます。




どうしてこうなった・・・